嗚呼、やんぬる哉。

雲の如く、流れ歩む日々よ。

ATフィールドが無ければいいのに

外注デザイナーの作業遅れに合わせた休日出勤でした。
火曜日にコンペ提出のイベント企画ですが、日曜午前の時点で何一つ成果品が上がっていない状態。

これは流石にマズい。
どういうものをやろうとしているのか、デザイナーの頭の中にしか存在していない。
つまり、
・予算内に収まっているかどうかが分からない
・クライアントの要望を満たしているかどうかが分からない
ということ。

しかし、そこで焦って「手書きでもいいから、頭の中のイメージを出してください!」と叫んでしまうのは、結果的によろしくない。

デザイナーという生き物は、
頭の中にあるイメージ、記憶、経験、理想、夢、閃き、願望…といった「もやもやしたもの」と、
心の中にある怒り、憎しみ、イライラ、ゲンナリ、ウンザリ、名誉欲、金銭欲、睡眠欲…といった「どろどろしたもの」を、
陶芸家のように練り上げて指先に込めて相棒(iMac)に表現していくのです。

つまり、中途半端な状態で引っこ抜いてしまうと、
「『中途半端にもやもやしたもの』と『中途半端にどろどろしたもの』が中途半端にくっついたもの」が出来上がってしまうのだ。


では、デザイナーが悩み苦しみスケジュールを破綻させている間、ディレクターは一体何をするべきなのか?

僕は、その答えは「どっしり構えて待つ」ことだと考えている。
(本当の本当にデッドラインを超えそうな気配を感じるまで)急かさずに堂々と待ち、その間に頭の中をクリアにしておいて、
いざデザイナーが成果品を出してきたら、もう泣きたくなるくらい脳髄と感性を働かせてチェックをするのだ。

ここでクライアントの要望と自分のディレクションに応えたものが出てきたら、「流石○○さん、天才!!」と称賛した後、
もう泣きたくなるくらい脳髄と指を働かせて企画書と見積書を作るのだ。

もちろん、デザイナーも人間なので、オリエンテーションの受け止め方を誤ることはある。
つまり、クライアントの要望にも自分のディレクションにもカスリもしない、オナニーデザインが出てくることがある。

ここでディレクターの選ぶべき選択肢はいくつかある。
①見て見ぬふりをして、次回以降の糧として、そのまま提出する。
②デザイナーの首根っこを掴まえて、もう一度「ゼロから」考えなおさせる。
③最低限の「良いところ」を見つけて、そこを軸にガンガン「修正」をさせる。
④手当り次第に電話をかけて、今から代わりのデザイナーを探す。

この場合、正解はどれか?
強いて言えば、③がマトモに感じるかもしれない。
強引だが、④がベストだと思うかもしれない。


答えは、率直に言って、無い。


デザイナーも人間で、ディレクターも人間で、クライアントも人間だ。
と、言うことは。
ディレクターの受け止め方が間違っていただけで、デザイナーの成果品はクライアントの真意を突いているかもしれない。

一度ゼロベースから考え直したデザイナーの頭に、天使の祝福が聞こえて素晴らしいインスピレーションが湧くかもしれない。

そして。
どんな苦労しても全く勝ち目がないくらい、圧倒的に凄いプランを競合他社が出してくるかもしれない。

もしくは。
実は自分達は当て馬で、受注する業者(プラン)は、コネクションで既に決まっているかもしれない。



だからこそ、僕は思う。
ベストを尽くそう、と。

自分は自分であってデザイナーでもクライアントでもないんだから。
身体も頭も心も別物で、常時完璧な意思疎通など出来ないのだから。
ATフィールドがある限り、僕達は他人なんだから。

だからせめて、自分自身だけは常に納得させられるよう、ベストを尽くそう。



ちなみに。
「一番優秀なディレクターとは?」と聞かれれば、その答えは簡単だ。
「一番勝てる(利益を上げる)ディレクター」だ。
ぶっちゃけ何もしなくてもいい。
クライアントから伝えられた要望をノーチェックでデザイナーに渡してもいい。
デザイナーが出してきたものをノーチェックでクライアントへ提出してもいい。
結果が出ているなら、そいつが一番優秀なんだから。

あぁ、ソフトワークって・・・なんだ?